小鳥と恋愛小説家




「いや……あんたねぇ……。せっかくそんな可愛く生まれてきたんだから、現実の恋に目を向けなって。」



「…………。」



夢ばっかり見てるあたしに、双葉はいつも諭すようにそんなことを言う……。



「よくわかんないもん。………あたしはまだ叶音様の小説があればいー。」



だけどあたしの答えはいつもこれ。



小説の中の恋ばかりで……今はまだ現実の恋なんて実感もわかない。



だって…小説だけで充分にきゅんきゅん出来てる。



現実の男の子なんて、ちびなあたしの前に来るとみんなでっかくて怖いし……。



あたしはまだまだ子供なのかな……?



だから……いつか、で、いい。







そう、いつか……









「……叶音様の小説みたいな恋ならしてみたい………。」



「…………。」









花咲小鳥(ハナサキコトリ)16歳。



叶音様の小説の大ファンで………



――――今はまだ妄想の世界に生きてます。







< 9 / 344 >

この作品をシェア

pagetop