眠れぬ夜は君のせい
「岳……もういっそのこと、狂わせて。

頭がおかしいとか、そんなのどうでもいいから。

わたしを、狂わせて…」

言い終わるのを待っていたと言うように、岳の手が背中に回った。

「――んっ…」

その手は、腰をなぞる。

さっきまでの荒っぽかった手つきはどこへやら。

今は、ウソみたいに優しい。

「声、聞かせて」

岳が耳元でそうささやく。

そっと、目を閉じた。

あいつとは違う、岳の指先。

似てるなんて思ったけど、それは違う。

いろいろとヤケになってたから、気づかなかっただけ。
< 185 / 252 >

この作品をシェア

pagetop