眠れぬ夜は君のせい
どうして出てきたのはわからない。

けど、彼と違うところで会いたかった。

ファミレス以外の場所で。

そこでいっぱい話がしたい。

彼のいろんな表情が見てみたい。

趣味から好きなものまで、何から何まで聞きたい。

彼の全てを知りたい。

だから、あんなことを言ったのかも知れない。

「風呂、あがったぞ」

パジャマ姿でタオルで髪を拭きながら言った健次さん。

その躰に、もう長いこと触れていないような気がする。

「来週、出張があるから」

「…わかりました」

私が返事したことを確認すると、健次さんはさっさと寝室に行ってしまった。
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