眠れぬ夜は君のせい
ああ、私にもまだ女の部分があったんだ。

違う。

桜介くんが、私を女にする。

忘れかけていた女としての本能を目覚めさせる。

「桜介くん…」

何もいらない。

桜介くんがいればいい。

彼がいれば、他には何もいらない。

「桜子さん…」

「桜介くん…」

お互いの名前を何度も呼びながら、夜を過ごした。


情事後特有の気だるさを感じながら、朝になるまでの時間を過ごしていた。

「桜子さん」

桜介くんが私を呼んだ。
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