眠れぬ夜は君のせい
その時、フッと感じた気配。

振り返り、
「あげは!?」

その後ろ姿は、呼んだ瞬間逃げ出した。

サラリと、長い黒髪がなびく。

「あげは!」

その後ろ姿を追う。

まるで、いつかみたいだ。

逃げるお前を、こうして追いかける俺。

手を伸ばし、つかまえた。

「やっ…」

振り向かせる。

赤い目が俺をとらえる。

「正宗、様…」

観念したと言うように、小さく呟くあげは。
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