眠れぬ夜は君のせい
「あなたとは、人間として出会いたかった…!」

止まることを忘れたと言うように流れる涙の雫。

それを目の前で見つめる俺。

あげはが、悲しそうに微笑む。

「さよなら、正宗様」

聞き終えた瞬間、鉛のように躰が重くなった。

ズサッ…。

地面に倒れた、らしい。

だんだんと重くなって行くまぶた。

意識が、少しずつ遠くなって行く。

「もしあなたにまた会えることがあるなら、必ず伝えます」

あげはが、何かを言う。

けど俺は、最後まで聞くことができなかった。
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