眠れぬ夜は君のせい
どうせ金持ちのロクでもない自慢話につきあわされて、金のことしか考えてない色ボケのお嬢様と結婚して、跡継ぎと言う名の子供を産んで、伯爵家の継続を目指す。

そんなバカバカしいことをするくらいなら、吸血鬼に血を渡してやった方がまだマシだ。

何だったら、自分から吸血鬼に魂を売ってやる。

「じゃ、これで失礼する」

俺は章子に向かって背中を見せた。

「えっ、正宗様?」

後ろからコツコツと追ってくるヒールの音に、
「それと」

俺は振り返った。

「章子お嬢様も、吸血鬼にお気をつけくださいませ」

俺は章子に向かってそう言った。
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