渇いた詩
そのあとはシャワーを浴びて、軽く朝食を取り、


無断外泊したままだったのでお母さんのお説教を受け流したまま会社に向かった。



「あれ…?」


会社に着いて“あるもの”がないことに気付いた。



いつも鞄の中ポケットにいれてるのに。


コートのポケットも財布の中も、


もう一度鞄の中を探したけど、ない。


「おっすサク、ん?何やってるんだ?」


「あっ、亮太……はよ。ないの、カードキー」


「カードキー?」


そう、あたしが探しているのは会社のカードキー。


名前入りのカードキーは社員一人に一枚配られてる大事なもの。


会社の入り口にカードキーをスキャンして暗証番号を押さないと扉が開かないシステムだ。
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