渇いた詩
久弥の体温をたくさんたくさん感じた。


溢れる想いは止まることを知らずに言葉になる。


「久弥……ッン……好、き」



生まれて初めての告白。



久弥は一瞬驚いた顔をしたがすぐに優しい顔に戻り「ありがとう」と呟いた。



ねぇ、その「ありがとう」ってどういう意味?



聞きたいけど、怖くて聞けない。



久弥から拒絶の言葉が出たらあたしは立ち直れないと思う。


聞かなかったことにしよう。



それを忘れるかのようにあたしは何度も何度も久弥の腕の中で果てた。



いつの間にか眠りについていたあたしは久弥の歌声で目が覚めた。



久弥はあたしが起きたことに気付かずにあたしの髪を撫でながら歌っている。



久弥の歌声は優しくて、綺麗で、心地良くて。



まるで久弥自身みたいだなって思った。


だけど歌は途中だと思うけどピタリと止んだ。


「……もう歌わないの?」


「起きてたんだ?」


「もう1回歌ってよ」


あたしの要望に久弥は困ったような顔をした。
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