渇いた詩
歌い終わるとそいつは満面の笑みで拍手をくれた。



「すごい!!あんた歌そんなに上手いの!?」


「まぁ、ね……」


少し恥ずかしくなって視線を反らす。



「あんた、プロになれるよ!!」



“プロになれる”。


その言葉を聞いて思わず笑ってしまった。



天下のGalfia、ヒサヤに向かって、プロになれるなんて、


こいつ、すげぇ。



「な、何笑ってんだよ?」


「アッハッハ!!悪い悪い。いいね、プロ。目指してみようかな?」



「そうしなよ!!応援してるから、一番のファンになるよ!!!」



そう言って笑った顔を見て俺は気付いた。



今目の前にいるのは女の子だと。



話し方も見た目も男みたいなのに、



可愛い、と思った。
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