渇いた詩
「美奈、あいつの部屋何もなかった。行くぞ!!」


マンションから出てきたのは、久弥並みに綺麗な顔の男性。


漆黒の艶髪が少し怖い。



「蒼ちゃん!!」


美奈と呼ばれた女性はその男性に駆け寄って抱きついた。



ん?ソウちゃん?


どこかで聞いた名前……。


「美奈、あの女。誰だ?」


男性はあたしに気付いた。


「桜ちゃんだよ。ひいくんの、桜ちゃん!!!」


「へぇ……エサから来てくれるとは、有難いね」


男性は不敵に笑いながらあたしに気付いてきた。



そして男性を纏っているタバコの匂いで思い出した。



この人、Galfiaのギタリストだ。



「塚原 桜。一緒に来い」


「来いって、どこへ……」


「久弥のところ。あいつはもうこのマンションには居ない」


そんな……。


せっかく会いに来たのに。
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