魔王様はボク
第一章 魔王争奪戦

第一話 新しい世界


真っ暗だ。
もしかして死んだのかな。

そう思うってことは、生きてるってことなんだけど。

真っ暗なのはただ単に目をつぶっているから。

どうやらボクは横向きに寝てるらしい。
右頬が何か固い地面のような感触に当たっている。

このままもう一眠り決め込みたいけどそうもいかない。
いったい自分はどうなったのかくらい知りたいし。

ボクはゆっくり目を開けた。

始めに目に入ったのは、白。
というか白しかなかった。

何もなく、ただ白いだけの場所。
部屋じゃない。
なぜなら、果てが見えないから。

なんでボクはこんなところにいるんだろう。

…ああ、そういえば飛び降りたんだっけ。

とりあえず起き上がろう。
寝てても仕方ない。

床に手をついて体を起こす。

立ち上がって周りを見渡してみた。

うん、白。
白しかない。

自分が白くなっていないかちょっと心配になったけど、そんなことはないようだ。

飛び降りたときと同じ格好をしている。
色ももちろん同じ。

そこに安心したところで、改めてこの空間の状況を冷静に分析してみよう。

寒くもなく、暑くもない空間。

しゃがんで再び地面に触れてみる。

触っているとはっきり言えないような感触。
こちらも温度を感じない。
温かくも冷たくもない。

なんとも不思議な場所だ。
今まで経験したことがないような場所。

顔がにやける。

楽しい。

ここに来れただけでも、飛び降りしたかいがあったというものだ。

新しい発見。
そんなものが心をくすぐる。

探検は昔から好きだった。

…あれ昔っていつ?
記憶を無くす前?

うーん、分からない。

まあいいか。

そんな風にボクが考えていると、背中に何かの気配を感じた。


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