午睡は香を纏いて
あたしの制服を着た、あたしの身代わりになる初対面の女の子が、泣きそうな顔をしていた。


「ご無事で……」 


自分ではなく、あたしを心から心配してくれているのが伝わってきて、目頭が熱くなる。


「ライラも」

「え?」

「ライラも、絶対無事でいてね!? そして、今度会ったときには、友達になってね?」


高ぶった感情を上手くセーブできなくて、叫ぶように言ったあたしに、
ライラは何度も頷いてみせた。
ぼろぼろと涙を溢して頷く肩を、父親がそっと抱いた。


「お急ぎください、カサネ様」

「はい。ゼフさんも、また、会いましょうね」

「必ず。オルガにて、会いましょう」

「カサネ!」


レジィの声が飛ぶ。
それに短く答えて、あたしの異世界への入り口であった小屋を出た。





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