午睡は香を纏いて
「すまない。居場所をなかなか特定できなかったから、お前たちにたどり着くのに時間がかかった。とにかく無事なようでなにより。それで、その子がサラ、か」

「ああ。今は『カサネ』という」

「そうか」


レジィから、あたしへ視線が動いた。
柔らかそうな茶髪の隙間から、髪より少し濃い茶色の瞳が見えた。
その瞳がじ、とあたしを見つめる。


「あ、えと。初めまして。助けてくれて、ありがとうございます」

「……ああ、初めまして。カインだ」


小さく頭を下げて、カインさんはすい、とあたしから視線を外した。


「お帰りなさいませ! サラ様!」


逸らされた顔を見ていると、怒号のような声が響いた。
びくりとなって辺りを見ると、あたしたちの乗っている馬を囲むようにして集まった人たちが皆、頭を下げていた。


「お帰りを心よりお待ち致しておりましたぁっ!」


その勢いに、馬がぶるる、と小さく唸った。
あたしはというと、レジィにしがみついて、とりあえずぺこぺこと頭を下げた。


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