死神恋歌

死神

「……は?」
間抜けた声を上げ、私──海音 葵は──目の前の‘存在’を見つめた。
「お前は1週間後、死ぬ」
「わ、ワンモア、プリーズ」
「お前は1週間後、死ぬ」
「……ハアァァァァ!??」
私思わず飛び起きた。
「ちょ!? 死ぬって、えっ? えっ!?」
──何ですか、これ? 何のフラグですか!!
──昨日の夜、「明日イイ事ありそ~」なんて寝て、起きてみたら超美少年にいきなり「1週間後、死ぬ」って宣告されるなんて……
──マンガですか! 小説ですか!! ゲームですか!!!!……って、超美少年?
「アノー、どちらさま?」
私はおずおずと尋ねた。
「死神だ」
「はい?」
──今、この人何て言いました?
「し、死……神……?」
「……」
「死ぬって字に、神って書く……?」
「……そうだ」
──ほへ~、死神って実在したんだ~
──あははは……私、霊感ないはずだよなぁ~……
「死神は、死期の近い人間にしか見えない……霊感は、関係無い」
「へ、ヘェ〜……って、今私の心を読んだ!?」
「……そうだ」
淡々とした口調でとんでもない事を話す自称死神様を、私はまじまじと見つめた。

見た目は、普通の高校生位に見える。
たが、精気のない白い肌と恐ろしく整った顔、何より血の様に紅い瞳が、目の前の青年が人ならざる存在だと告げていた。
少し長めの黒髪に漆黒のローブを纏う姿は、死神のイメージと重なる。
「……俺は、お前が死ぬその時まで、お前を監視するために……降臨した」
どこか威圧的のある声が、私の脳内に響いてきた。
「はあ、そう……ですか……」
「……そうだ」
「……」
「……」
──気まずいなぁ~
くきゅるるるぅぅ〜
──えっ? 今の音は……
「…… フイッ」
頬をわずかに赤らめ、目を逸らす死神君。
──こ、これはもしや!?
「ねえ、朝ご飯……食べる?」
「……いただきます……」


──死神も、お腹が減るんだ。





















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