双子月
グラウンドの中央に用意された薪の山に火が付けられて、キャンプファイアーが始まった。

フォークソングサークルのメンバーが、アコギで”遠き山に日は落ちて”を弾いている。


空はすっかり暗くなっていて、月が見えている。

星もいくつか、まばらに輝きを増してきた。


そして音楽は”コロブチカ”に変わった。


照れながら手を取り合っているカップル。

ウケ狙いで仮装して踊る団体。


皆の楽しそうな表情と笑顔が飛び交う。

パチパチと木が燃える独特の匂いと火の粉も飛び交う。


火の明るさに、顔が火照ってくる。

4人はただ、ただ、眺めていた。



去年は楽しかったな…


剛さんが仕事で来れないからって、真朝が、光弘と踊ろうとする私に文句を付けてきて。

で、美穂や瑠璃子に男の人が群がってきたから、真朝がソレにも負けない位の男らしさで、全部追い払ったんだっけ。

そして、同じ心理学専攻で光弘の友達の大輔を呼び出して、瑠璃子と強引にペアを組ませて、真朝は美穂と組んで、変な3組で踊ったなぁ。



(大丈夫だよね…
きっと今夜には、忙しくて気が立ってたってメールが来るよね…)



朋香はそんな事を考えていた。


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