双子月
先週オープンしたばかりとあって、小ぢんまりしたお店の中は若い女性でいっぱいだった。


それでも何とか4人席が空いていたので、朋香・美穂、瑠璃子・真朝が隣同士に座った。

まだ新しい木の香りがする。

メニューも手書きで雰囲気がとても良い。


「わぁ、久々にヒットって感じじゃん!」

と真朝が言った。


新しいランチ屋さんを発掘するのが4人の趣味である。

それも、チェーン店なんかではなく、こんな個人経営の小さくてアットホームな店。

休日、4人の予定が揃えば”ランチDAY”と称して、目を付けた店に足を運ぶ。


「本当、今は騒がしいけど、物珍しさが落ち着いたらイイ雰囲気の店になりそうだね。」

と、朋香が言った。

瑠璃子も頷いている。


良かった、少しは気が紛れたみたいだ…


美穂と真朝はそう思った。



4人は10分程メニューと睨めっこをしていた。



「Aランチ…パスタかぁ」
「Bは?」
「Bはドリア」
「日替わりはないの?」
「日替わりは、今日はハンバーグシチューだって」
「あ、ケーキ食べたいかも」
「単品のピザも美味しそう~」



女性の食べ物にかける熱意は素晴らしい。

たかが数ページのメニューだけで、ここまで議論する事が出来るのだから。


結局、いつものように4人別々のメニューをセレクトして、食べ回しする事にした。



< 122 / 287 >

この作品をシェア

pagetop