双子月

7…燃え尽きる直前の輝き

月曜日の夜。

仕事が終わった雄一から、『あと10分位で着くから』とメールが届いた。


瑠璃子は、実家近くのコンビニでファッション雑誌を立ち読みしていた。

だけど、見ているだけで、読んではいない。

雑誌の中のモデルが可愛い服を着て笑っているなんて、どうでもいい。



クリスマスまで、後1週間ちょっと。

雑誌のデート特集も、コンビニのケーキ予約のポスターも、街のイルミネーションも、何故か胸を躍らせない。

瑠璃子は溜息を付いて、雑誌を元の位置に戻した。

するとちょうど雄一からワン切りがあったので、コンビニの駐車場に出た。



「待たせてごめんね。」

と雄一が助手席を開けながら言った。


「ううん、さっき来たばかりだから大丈夫。」

瑠璃子はお決まりの台詞で軽く笑ってみせた。


「お店、予約してあるんだけど…」

「えぇ、お腹ペコペコ!」


雄一も軽く笑って車を走らせた。


瑠璃子はてっきり、いつものホテルのレストランだと思っていたが、今日はいつもよりも少し高そうなホテルのレストランだった。


瑠璃子はそれで、雄一の言わんとしている事が分かったような気がした。


(せっかくだから、ご好意に存分に甘えよう)


と、瑠璃子は自分に言い聞かせた。



イタリアンのフルコース。


オードブルから始まり、スープ、パン、メインディッシュ、デザート…。


雄一はスパークリングワインで、瑠璃子はレモネードで乾杯をして、とりとめもない話をしながら2人は笑った。



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