双子月
「私、美穂達を呼んでくる。
瑠璃子、光弘のコト、お願いね。」


そう言って朋香は光弘の病室を出て行った。


この2人になると、尚更、居辛い。


瑠璃子がようやく口を開いた。

「光弘…ごめんなさい、私…」


と光弘の傍に近寄って、そっと左手を触りながら言った。



「気にすんなよ、俺が勝手にやった事だしさ。
俺だからこれ位の怪我で済んだんだ。
瑠璃子だったら、死んでたかもしれないんだぜ?
それに、雄一さんって人との事も朋香から聞いてたし。
想い出しちゃったんだろ、出逢いを。
だから泣くなよ。
友達が…皆がいるじゃないか…」


光弘は、瑠璃子が触れている左手で瑠璃子の涙を拭取った。


そして、ベッドにうつ伏せになって涙をこらえる瑠璃子の頭を撫で続けた。



その時、病室のドアが開いて朋香が入って来た。

2人はビクっとして、瞬間、離れた。


「ごめんごめん、ハンカチ忘れちゃって。
あった、じゃ、ごゆっくり。
皆を呼んでくるからね。」


と、また出て行こうとした。


「朋香…!
その…いろいろと…ごめん…」


光弘が申し訳なさそうに言った。


「何のコト?」


朋香は、変なの、と言わんばかりにクスクス笑って病室を出て行った。



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