双子月

3…Ⅴ years after that Day

5年前、”彼女”がまるで白雪姫のように横たわっていた整形外科病棟の中庭の一角に花を添え、それぞれが手を合わせて”彼女達”と会話をした。


クリスマスが来る度に胸を痛ませていた彼らも、5年経った今は、笑いながら再会を喜び合える。


クリスマスがある意味、1年で1番の勝負時であるオモチャ屋の溝口家にとっては、三回忌や七回忌という節目でない限り、この日を空ける事は出来ない。

だから朋香の父親は、お年玉による年始セールが終わって一段落着く成人式の頃に、ようやく朋香の元を訪れる事が出来るのだ。



よって、今年は母親と望、そして旧友達が代わりに集まってくれたという訳だ。


今年は溝口家の方で、集まってくれた彼らに簡単な食事会を用意している。

ホテルのレストランに予約を入れてあるので、腕時計で時間を確認した母親は、


「そろそろ移動しましょうか。
あら、光弘君と瑠璃子ちゃんは?」

と、2人がいない事に気付いた。


「あぁ、2人なら例年のように、上にさっき行ったみたいですよ。
光弘が、車だから先に行ってて良いって言ってましたから。」

と大輔が言った。


「じゃあ、そうしましょうか。」

そう言って皆はその場を後にして、ホテルへと向かった。



< 247 / 287 >

この作品をシェア

pagetop