双子月

2…ロミオとかぐや姫

月曜の朝1番。


「お願い、瑠璃子、朋香、美穂!」

真朝が3人の前で手を合わせて頼み込む。



「な…何事?
真朝がそんなに真剣にお願いだなんて…。
もしかして渡辺先生の講義のレポート、完成してないの?」

美穂が、嫌な予感を感じながら尋ねた。


「レポートは既に瑠璃子のを拝借してるよ、大丈夫♪」


…拝借している時点で大丈夫とは言えないのだが、とりあえず違う用件のようだ。



「なぁに?
改まって。」

「学園祭の出し物に、ご協力下さいませ…!!」



「えっ、演劇サークルの~!?」


3人揃って叫んでしまった。




真朝は演劇サークルに所属している。

今年は特に人数が多くないらしい。


1年に1度の学園祭が大舞台となるのだが、キャストはもちろん、裏方まで人数がとても足りたモノではないのだ。


こうして毎年、友達などの手を借りて何とか凌いでいる。


去年は引退した4年やOBの手助けが多かったので、3人は簡単な舞台照明や音響の助手をした。


それでも一応、3人共それぞれサークルに入っており、学園祭用の自分の展示品も準備しなければならないので、大変といえば大変だったのを思い出す。



「ちなみに…演目は?」


去年はウケ狙いの『桃太郎』だった事を思い出す。

まぁ、自分達は出演していなかったから、普通に笑えたのだけれど。



「『ロミオとかぐや姫』」



…妙な沈黙が一瞬訪れた。



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