双子月

4…嵐へ向かう準備

学園祭まで残り3週間。

演劇サークル部員+アシスタント達は、いよいよ気合いを入れて本番に向けて取り組み始めていた。

今日は初めての衣装合わせ。


美穂お手製の西洋風王子様ドレス。

白馬に乗っていれば完璧な程だ。


そして、かぐや姫の十二単衣。


素人が創ったとは思えない程の出来に、一同呆気に取られていた。

この少ない予算と時間の中で、よくもここまで見事に完璧に創り上げたものだと。


まぁ、池田さんに手伝ってもらった事と、少しだけ自己負担で美穂がお金を出した事は内緒にしておこう。


「さぁさぁ、鑑賞用に創ったんじゃないのよ。
真朝、瑠璃子、着てみてちょうだい。
微調整もしなきゃだからね。」


と、美穂が手を叩きながら、皆の意識を戻す。


「そうだね、着てみよう!」


真朝と瑠璃子はそれぞれ大道具の影に隠れて着替えを始めた。


「朋香の背景もだいぶ進んでるじゃない。」


と美穂が朋香に話しかける。


「うん、久々の超大作だから結構大変だけど、楽しいよ!」


「…調子は大丈夫なの?
無理しちゃ駄目よ?」


と美穂は周りに聞こえないように、小声で朋香に話しかけた。


「ありがと。
でも最近は調子イイ気がするんだ。
やっぱ皆でこんな風にやるのが楽しいからかなぁ?」


と笑うのを見て、美穂は安心した。



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