双子月

8…『ロミオとかぐや姫』act-3

「美喜麻呂様、かぐや姫様の事で御話が…」

「何じゃ?
最近は御簾越しではあるけれども、扇子で顔は隠さずに話すようになったのだ!
余は嬉しくて嬉しくて…」


「その事なのですが、実は…」

「もったいぶらんで早く言うのじゃ」

「いえ、その、良からぬ噂が…」

「噂?」


「はい、実は…
かぐや姫様が、夜にどなたかと逢引をなさっているという…」

「逢引?
男とか?
それは真であるのか!?」

「多くの女官や警備の者が、姿こそ見ていないようですが、かぐや姫様の部屋から男性の話し声が聞こえると…」

「警備の者がいながら、かぐや姫の部屋に行ける訳がないであろうが!」

「はぁ、ですから、誰も確認出来ていないのです…
警備の人数を数日前から倍に増やしたのですが、依然変わりなく…」


「…急に物腰が少し柔らかくなったと思えば、そのような事が…
えぇい、すぐにかぐや姫を呼んでまいれ!」




< 73 / 287 >

この作品をシェア

pagetop