PARADOX=パラドックス=

一瞬にして喉が乾ききり、オレは第一声が出なかった。

どうにか振り絞り口を開こうとした時。

「やめなさいセバスチャン。

女の子が震えているじゃないか」

女の一言でセバスチャンから出ていた威圧感が消える。

「恩人の足を止めてしまい、うちの執事が失礼をした。

代わりに謝ろう。

よい旅を」

女は深く頭を下げ歩きだす。

オレはネオンの震える手を握る。

「ネオン、もう大丈夫だ」

「……うん」

振り返るともう二人の姿は鬱蒼と生い茂る木々の中に消えていた。

「オレ達も行くぞ」

「うん」




< 78 / 87 >

この作品をシェア

pagetop