苦しみの(涙)
「龍樹、着いたよ。幼い頃たくさんたくさん遊んだ宮だよ。」
話しかけても龍樹はまだ眠っている状態で反応を示さない。
けど、きっと感じているはずだこの場に溢れている龍気を。
「誰だ!!」
まだ甲高い声が聴こえた。
声変わり前の声といったところだ。
姿が見えないが、物陰に隠れているのか。
「ながらく帰っていかなかったが、この宮の後嗣の名も顔も忘れたか?」
少々笑い含みになった言い方で呟いた。