薬指~未来への誓い~
真吾と私の関係をボロボロにさせた自分が、毅に甘えて幸せにはなったらいけない……と。


由樹のその決意は頑なで、毅は“待ってる”とだけ告げ別れたらしい。



『ごめん…』

『倖知ちゃんが謝る事なんかない!!
倖知ちゃんの気持ちを傷だらけにさせた俺たちの自業自得ってやつやし…』

『まだ、毅くんは由樹さんの事好き??』
『倖知ちゃんには申し訳ないけど…。由樹が好きや。
けど、メールも電話も出てくれんし、きっと俺だけの片思いだけどな』

『私、由樹さんに謝らなきゃ…』




私は、どれだけの人を道連れにしてきたのだろう…。


まるでアリ地獄のように…引き吊り込む。




幸せになる権利など、与えたり与えられたりするものじゃないのに…。



けど、今でももし、由樹が私たちへの事で暗闇にいるのなら…


手を、伸ばせる気がするの…。



今なら、由樹へ手を伸ばせる気がするから…。



『由樹さんの家、どこか教えて??』


自然と、もう一度由樹に会いたいと…毅に聞いていた。



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