夜の雨の香りと貴方。

ベッドの上








背中に柔らかい感触。


そりゃ、ベッドの布団の上ですからね。



…………って!!



「な…にするの…?」


恐る恐る聞くと、


「それ説明した方がいい?」

「いや、結構です。」



くくくっ…

と、笑いながら黒のスーツをハンガーに掛ける彼。


何が面白いの!



にしても。

本当に男の人の一人暮らしとは思えない程きれいな部屋。


白で統一されたホテルみたいなベッド。

整理整頓された資料が並ぶ本棚。

パソコンが乗る、黒い机。


この人何者?



で、聞いてみた。


「サラリーマン…なんですか?」

「んー?宇宙人なんじゃなかったっけ俺。」


そりゃそうだけど。


「うん、ただの会社員。」


「そうなんですか。」


「何?色々知りたくなっ…」


「興味本位です。」

ええきっぱり。


「そっか。興味があるのか。」


「は!?そんなのあるわけな……へっっぶしっ」



…………………。



「……………………。」


「……………………。」


「……………………。」



って!いつまで無言のやり取り!


「ティッシュ下さい。」


「あ、ああごめん。取ってくる。」



そう言って、リビングに向かう背中を目で追った。



………あの、

ティッシュそこにあるのは幻覚でしょうか。



ちょっとして、

「ぶっ!あははははははは」

と、リビングから笑い声が聞こえてきた。



そう、笑いを堪えてたのか。




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