Blood smell 2
何が起こったの…?


考えたくても
痛みが意識を奪って行く



「だから言ったんだ…
下等生物…。」



意識を失う直前
ダンの声が頭に響いた気がした


そして
意識を完全に手放した


ぐったりとうごかなくなった私の頭を
磨きあがられた革靴が踏みつける


「ったく手間取らせやがって。」


「おい、やめろ。
陛下と教皇がこいつを見たがっていた。
汚さないまま連れて行かなくては。」


黒いフード付きマントをかぶった数人の
男たちが私を取り囲んだ


「一気に飛ぶぞ。」


「ああ。」


「了解。」


男たちが手を挙げた瞬間


「冴ちゃん!!」


愛子さんが叫びながら近づいてくる

「シュルドに伝えろ。
人間に会いたければ、おまえも来いとな。」

冷たく言い放った言葉とともに
男たちは消えていた



「冴ちゃん!!」



その場には
虚しく愛子さんの声が響き渡っていた
< 31 / 62 >

この作品をシェア

pagetop