雪・時々晴れ
素顔で躍らせて
小田君と会っていて思う。


過去の自分は恋人となった人に対して良い格好しーだったと反省することが多い。


以前の私といえば、栄治やその前の彼氏が私を構ってくれない態度によく腹を立てていた。


自分の嫌な性格も隠していたと思う。


ヤキモチ焼きの件に関してもそうだ。


飲み会なんかで他の女の子にお酌する彼氏に対して、ヤキモチ焼くのをヤセ我慢して相手のこと急に嫌いになったりしていた事を思い出した。


仲間が皆で盛り上がっている途中で怒って帰ってしまったこともある。


彼氏の前だけでならともかく、みんなの前ではやってはいけない事だろう。


ヤキモチの焼き方が間違って居たのだろうと思う。


小田君はヤキモチを自然に正直にさらけ出すから、自分も自然にヤキモチを焼いて居られる。そんな関係が少し照れくさかったが嬉しく思えた。


私はあと3日で23歳である。


どれだけのん気で暮らしていたのかと後悔するばかりだ。


小田君はたった一つしか離れていないのに大人を意識させる相手であった。


きっと苦労して来たんだろうなと感じさせられるオーラをまとっていた。


誕生日には以前から聞いてみたかった事を時間がゆるすかぎり聞こう。


親には豪華な料理でも用意されてはいけないと思い、小田君と誕生日を過ごすことを伝えた。と同時に栄治とは別れたことも告げた。


両親揃って栄治が可愛そうと言っていたが、他の人を好きになってしまったからしょうがないとしか言えなかった。


小田君とは恋人になれるか解らなかったが、もう隠せないくらい日曜日に出歩いているのだから打明けるしかなかった。


「栄治が手紙なんて変や思ったわ」


「そうやな」


「その小田君って子と一緒にスキー行ったんか?」


「そうや」


「小田君はええ男やで。でも菅原の方が男前やと思うけどな」と父さんが言った。


「男前か~?」


(…この二人は娘と友達みたいに喋りよる)


「まーそういうことやから!」


さっさと2階の自分の部屋へ逃げた。
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