きみのうた
「あれだろ、噂だろ」
「知ってるの・・・?」
「当たり前だ。お前が入院してる間に佐々野が夏帆に文句言いに行きやがってさー。それが余計に噂の種になって。今じゃあいつがやられてるよ。まあ佐々野は男気があるから心配ねえけどさ」
倉井君の顔が見たいよ・・・。
「笹野?」
「え?」
「顔が暗いぞ」
「そんなことないよっ!」
精一杯笑ってみせる。
「ならいーけど。困ったことあったら呼べよ。授業中だろうが行ってやるよ」
「あはは。アメリカでもー?」
「当たり前だわ。何処だろうと行ってやるよ」
「そっか。今もまだ佐藤先輩が好きなんでしょ?」
「えっ」
「あたし、目は見えないけど。雰囲気や空気で感じ取れるんだよ」
「へぇー。すげぇな」
褒めてないでしょ、絶対。
「けど、はずれだよ」
「え?」
はずれ?
だってどう見たってそうじゃん。
見れないけど・・・。
「もう夏帆は好きじゃない。あいつとも話をしてきた」