こんなに好きなのにっ!!
あぅ~…。



悠ちゃんが怖い…。



グイグイ手を引かれてあっと言う間にサッカー部の部室前。



ガラッとドアを開けた悠ちゃんに、きっともうあたしの声は届かない。



「夏川?どうした?」

「藤井って、どれ?」

「アイツだけど…」

「わりぃね、アイツ今日不能にすっから」

「は!?」



手を離した悠ちゃんは藤井君に向かって一直線。



悠ちゃんに気づいた藤井君が悠ちゃんを見た瞬間、藤井君が蹴り飛ばされた。



一瞬の出来事で誰も理解できなかったと思う。



悠ちゃんが蹴った…。



あんまり見たことのない、悠ちゃんのケンカシーン。



中学の時はたまに傷を作って帰ってくる時はあったけど、原因なんて教えてもらえなかった。



悠ちゃんが誰かに手を出す姿を見たのは小学校以来だと思う…。



「なに…すんスか…」

「こっちの台詞だクソが」

「いってぇ…」

「コレで気分晴れる。意味もなく手ぇ出したら俺がわりぃからな。きっかけ作ったのはテメーだぞ」



別人みたい…。



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