夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
ぽかんとする補欠にニヤリと微笑みかけて、あたしは左手を振り上げた。


左手にありったけの力を込める。


確かに、あたし、料理なんてできないけど。


だけど、補欠の事はこんなに大好きなんだから。


ちょっとは気付けよ。


「翠スペシャルサンダー!」


あたしは丸く太った形のいいキャベツに、思いっきり包丁を振り下ろした。


包丁はキャベツを真っ二つに切り裂き、ダアンと木製のまな板に突き刺さった。


「ギャーッ!」


真横でボウルを抱き締めて、健吾が悲鳴を上げた。


真っ二つに割れたキャベツの回りに、破片が散らばっている。


腰に手を当てて周りをぐるりと一周見渡すと、クラスメイトたちはみんなあんぐりと口を開けて固まっていた。


ポケンと口を開けて、補欠はキャベツを見つめながら立ち尽くしていた。


「まあ、こんなもんかね」


あたしが笑うと、


「なにこれ! 激うま!」


お好み焼きをつまみ食いする明里の横で、


「まじでウケるからあ! 翠ってば最強だし」


結衣が両手を叩いて豪快に笑った。


笑ったのは結衣だけで、屋台の中は水を打ったようにシーンと静まり返った。


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