夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「また道に迷ったのかよ、フランソワ! あいつ、あったまわりーし!」


と結衣がたたみかける。


クラスがどっと笑いの渦に飲み込まれる中、補欠だけががっくり肩を落として小さくなった。


「な、補欠! フランソワに道聞かれたんだよなっ」


補欠の背中をドンと押すと、補欠は小さく小さく頷いて、背中を丸めた。


「あー……確か」


にべちゃんがガクッとこける。


「夏井までグルか。まったく、分かった分かった。とりあえず、3人は指導室!」


必死の抵抗も虚しく、あたしたちは指導室へまっしぐらになってしまった。












ほんのり温かい指導室に、シャーペンのカツカツという音が三重になって響く。


「お前のせいだぞ、翠」


シャーペンを休ませて、健吾があたしを睨む。


「なにー! 元はといえば、お前があたしに助けを求めたんだろうが」


テーブルにバンとシャーペンを叩きつけると、補欠がため息をした。


「やめろって。こんな時までやり合うなよ。とりあえず、終わらせようぜ」


あたしたちは遅刻したバツとして、原稿用紙3枚分の反省文を書くはめになった。


「この反省を生かし、これからは勉強に部活に真剣に取り組みます。これでどうだ」


一番乗りで書き終えた健吾が椅子を立ち、


「お先! イチャイチャしながら頑張りたまえ!」


と指導室を出て行った。


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