夏の空を仰ぐ花 ~太陽が見てるからside story
「例えそれで死んだとしても、そうやって死ねるなら本望だ」
いっそ、精根尽き果ててやる! 、そう吐き捨てて、あたしは腕から点滴の針を一気に引っこ抜いた。
シクッ、と一瞬だけ不快な感触があったけど、痛くも痒くもなかった。
病衣の袖口に鮮血が滲んでいたけど、そんなことにいちいち構っていられるほど冷静ではいられなくて。
「そのケータイ貸せ!」
あたしはベッドから飛び降りて、母の手から携帯電話を奪い取った。
「あっ! 何すんだ! 翠!」
奪い返そうとする母を肘で突き飛ばして、あたしは夢中になってスクロールした。
「お母さんも先生も味方になってくんなくても、あたしの味方になってくれる人はいるんだ!」
取り乱すあたしを見て顔色を変える母と、動じる事なく冷静に見つめる先生。
ふたりの視線を浴びながら、コールした。
この人しか居ないと思った。
彼なら味方になってくれるんじゃないかと思った。
「……はい、もしもし」
夏井に会わせてやりたい、昨日、そう言ってくれた彼なら。
昨日、補欠を連れて来てくれたのは、彼だった。
「先輩! あたし、翠」
少しだけ間があって「えっ」と驚いた相澤先輩の声が耳を突き抜けた。
「どうしたの、翠ちゃん」
「先輩、今どこに居んの?」
「今、そろそろ県立球場に行こうかと思って、家出ようかと」
先輩の声は穏やかで、妙に安心した。
だから、涙が出てしまったのかもしれない。
「先輩に頼みたい事があるんだ」
ズビッ、と鼻をすすってお腹に力を込めたはずなのに。
「せんぱ……頼むよ……」
涙が邪魔をして、声がふにゃふにゃにかすれてしまった。
「つ……れてって……」
いっそ、精根尽き果ててやる! 、そう吐き捨てて、あたしは腕から点滴の針を一気に引っこ抜いた。
シクッ、と一瞬だけ不快な感触があったけど、痛くも痒くもなかった。
病衣の袖口に鮮血が滲んでいたけど、そんなことにいちいち構っていられるほど冷静ではいられなくて。
「そのケータイ貸せ!」
あたしはベッドから飛び降りて、母の手から携帯電話を奪い取った。
「あっ! 何すんだ! 翠!」
奪い返そうとする母を肘で突き飛ばして、あたしは夢中になってスクロールした。
「お母さんも先生も味方になってくんなくても、あたしの味方になってくれる人はいるんだ!」
取り乱すあたしを見て顔色を変える母と、動じる事なく冷静に見つめる先生。
ふたりの視線を浴びながら、コールした。
この人しか居ないと思った。
彼なら味方になってくれるんじゃないかと思った。
「……はい、もしもし」
夏井に会わせてやりたい、昨日、そう言ってくれた彼なら。
昨日、補欠を連れて来てくれたのは、彼だった。
「先輩! あたし、翠」
少しだけ間があって「えっ」と驚いた相澤先輩の声が耳を突き抜けた。
「どうしたの、翠ちゃん」
「先輩、今どこに居んの?」
「今、そろそろ県立球場に行こうかと思って、家出ようかと」
先輩の声は穏やかで、妙に安心した。
だから、涙が出てしまったのかもしれない。
「先輩に頼みたい事があるんだ」
ズビッ、と鼻をすすってお腹に力を込めたはずなのに。
「せんぱ……頼むよ……」
涙が邪魔をして、声がふにゃふにゃにかすれてしまった。
「つ……れてって……」