原石のシンデレラ
しばらくして、冬真の唇が離れて、私は薄く目を開いた。


冬真の顔がドアップで、私の瞳いっぱいに視界に広がる。


ほんのりとピンク色に染める色白の肌を、冬真お兄ちゃんの大きな手が、私の頬に触れると小さく呟くように言った。


「――…雪詩、今の声…絶対に誘ってただろ?」

薄く開いた冬真の口元が、ニヤリと歪み、私の唇をなぞるように親指を動かす。

「――ち、ちがッッ!………んン…」


否定しようと口を開きかけると、その隙間に、親指を押し付けられた。


口の中に冬真の親指が、侵入してきて少々苦しい。


「……ほら、やっぱり……」

耳元で囁くように呟く冬真の声にゾクリと悪寒がした。


いつもの冬真とは違うような気がして―――。


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