原石のシンデレラ
さっきまで私達が居た、ホールに向かうと…炉惟が、タキシード姿で出迎えてくれた。

さすが、私と違って身のこなしが抜群、しかもカッコイイ…。


ずっと見つめていると、炉惟が頬を赤らめて、「ーー余り見つめないで下さい……その、恥ずかしいですから。」


「ーは、はい…」

私も恥ずかしくなり、返事をした後にそっぽを向くと、炉惟が静かに近付いてきた。


「ーーー木崎、ちょっと頼みたいことがありますの〜」


遠くから、同じメイドの姿をした女性が、私の傍に居たメイドに話しかけた。


ーこの人、木崎って言うんだ…覚えておこう。


「…あ、ちょっと待って…井上、今、これから向かいます…。ごめんなさい…私は、雪詩様の傍に居られません。炉惟坊ちゃま…雪詩様のお側に、代わりに居て貰えませんか?」


メイドの木崎が御願いをすると、炉惟は、すんなりと了解をした。


「いいですよ。雪詩さんと、ゆっくりお話がしたいと思ってましたから…」


「申し訳ありません…」

ペコリと会釈をすると木崎は、パタパタと奥の方へと行ってしまった。


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