原石のシンデレラ
「ーー後で、僕の家に来ない?」

「え……」


その言葉に驚きを隠せないでいると、

「…大丈夫、此処は実家だけど。僕の住んでる所は、別のアパートだから」


ーーいや、全然大丈夫じゃない気がします。むしろ危険の香りが、プンプンと…。


それに雪詩が唖然としたのは、そっちの意味じゃないんだけどな…。


さすがに雪詩は断ろうと思い、口を開いた。
「ーあ、あのぅ……」



「お待たせ〜♪、珈琲とオレンジジュースです」

マスターの大きな声に、雪詩の声はかき消されてしまった。……タイミングを逃してしまい、私は肩を落とす。


目の前に注文したオレンジジュースが置かれると、とりあえず飲み物を口にする。


「…あ、美味しい。」ーー思わず笑みが零れる。


「…だろ?。父さんの作る物は、絶品だよ」

そう言って少年のように輝く笑みを浮かべる。


普段、職場で見せる愛想笑いとは違う。


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