原石のシンデレラ
困り果てた雪詩は、ただ黙って俯くままの炉惟を横目で見つめた。

長い睫毛が、緩く上向きにカールされてて男性だと解っていても、綺麗だと思ってしまう。


ーーこんなに綺麗な男性が、私の側に居ること事態、有り得ないことなんだよね。普通は…。


ボンヤリと考えて鉛のように気持ちが沈み目を伏せる…。


そして…未だに俯いたままの炉惟の唇に目が行ってしまった。


「炉惟さん…」

小さく呟くように吐き出された言葉に、炉惟は無言で哀しげな表情を向けたまま、雪詩を見つめた。


炉惟の袖を掴み、唇を押し当てる。
柔らかくて温かい体温が唇に伝わった。


ーーキスがしたくなった。


自分でもビックリだけど、炉惟はもっとビックリしたに違いない。


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