blue tears love ~僕等の秘密~
金色の水しぶき
「頼むよ、瀬野。業者に頼む予算が厳しいんだよ…お前の腕を見込んでだなぁ…」


終業式が終わって、帰ろうとしていた時だった。


中庭で、水泳部の顧問の高橋先生が何度も頭を下げる。


「でも、三年生最後の大会なんでしょ。俺なんかじゃぁ、先輩たちが…」


「大丈夫、俺はお前の腕を見込んでだなぁ…頼むよ」


ギラギラと太陽が照りつける。


先生は「腕」という言葉のところで、何度も自分の腕をたたく。


その腕からも、額からも汗が流れおちる。


…暑い…せめて日陰に入りたい…


松葉杖の僕には雨の日と共に暑さは辛い。


「先生、わかり…」


…ました…まで言う前に先生は、


「そうかぁ、ホントに助かるよ。ありがとな。それで、試合は明後日だから、総合競技場
の第一プールな…俺らバスで出発だからお前も一緒に…六時学校集合な…よろしく~」


そういって、扉を開けて廊下を小走りに行ってしまった。
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