私が私の王子様!?
「有難う
でも、裕也がこんなの持ってるの・・・珍しいね?」



半泣き、半笑いで言う。
裕也は、こんなにも綺麗で、優しくて。
いつもとおんなじ笑顔で私を支えてくれるんだね。
私は、こんなにブサイクなのに。



「ばぁか
隣だぞ?隣っ
お前が泣いてることなんて・・・何回も聞いてたっつの」



・・・ぇ
嘘っ・・・



「お、お母さんに怒らたときとか・・・」
「ぁあ」
「お兄ちゃんに、大好きなゲームのセーブデータ消された時とか・・・」
「ぁあ」



・・・嘘ぉっ
ちょっ、待ってっ
恐るべし近所!!!
恐るべし幼馴染っ!!!



「いつもっ・・・」
「え?」
「いつもお前が泣いてるとき・・・窓から行って抱きしめてやりたいって思った・・・」
「・・・」



私だって・・・



「・・・ばかっ、アホっ、裕也の大馬鹿っっ」
「なっ」



裕也の洋服に、小さな雫が落ちる。



「どうしたんだよ、お前―――」
「私がっ」



おっきな手で、拳を握る。



「私が裕也のことを、嫌いなはずがないでしょぅっ?」

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