スターフィッシュ‼︎

間奏に入ると、


「あーーーーーーー!!」


と何かに取りつかれたように、あたしは叫んでいた。


初めてのライブの時と、同じ。

その様子を見て、王子も、ゆーたも、良夫さんも、演奏中なのに爆笑していた。


そして、ゆーたはステージ前方に向かい、ギターソロでお客さんを煽り、

王子は良夫さんに近づき、2人で笑いながら心と曲のリズムを合わせて、さらにお客さんを踊らすビートを作っていた。


初めての野外。夕方に差し掛かる空の下。

あたしたちをさえぎる壁や天井は無い。


楽しい! 自分で自分を止められない!


いや、止めなくていいんだ。


どこまでも突っ切って、今ここにいるお客さんはもちろん、

今日来れなかったみんな、

そしてあたしたちを知らないこれから出会う人たち、全員に思いを届けてやるんだ。



「ありがとうー! 本当にありがとう!」


曲が終わると、高低様々な歓声が再びあたしたちを包んだ。

奥の飲食コーナーから、どんどん人がこっちへ向かってくる様子も見えた。



今日も演奏するのは2曲のみ。

次でラストだ。


「もう1曲は、STARFISH初のラブソングをやります。大切な人のことを思い浮かべながら聞いてくれたら嬉しいです」


軽い息切れの中、あたしはお客さんにそう伝える。

すると、さっきの『ROOKIE』の時とは違う、温かい拍手がじわじわと広がっていった。

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