スターフィッシュ‼︎

「よし、やるぞ! お前も早くマイクミキサーにつなげ」


ワインレッドっぽい色のベースを

ストラップ長め――低めの位置で鳴らす王子がいた。


ピックを使わず、指弾き。

その指がベースの弦を弾いたり、叩いたりすると、

体の底が震えるような低音が奏でられる。


『俺様のベース姿が格好いいからって、ぜってー俺様に惚れるなよ!』


こりゃ、無理だ。

か、格好すぎるーー!!


惚れないように、惚れないように、

と思いながら、あたしはミキサーと呼ばれる機械にあるマイクの差し込み口に、

スタジオ説明書のメモ書き通りにマイクをセッティングした。


すると、バンッ、バンというバスドラムの音を合図に、

良夫さんのドラムの音が一定のリズムを刻みだす。
< 52 / 434 >

この作品をシェア

pagetop