だからこそ、キミは。



「…何があったか知らねーけど。」



濡れた髪に、微かに触れるゴツゴツとした力強い感触。


ほのかに、一部分だけ温かいのは、頭のてっぺん。



泥なんか気にせず座り込んでいた私の頭は、今度こそ停止していた。




『……。』



ゴクン、と。喉に溜まった唾を飲み込む。


同時に零れ落ちたのは、髪から滑り落ちた雨一滴。



その瞬間には、私の茶色がかった艶のある黒髪がキラリと光ったような気がした。




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