だからこそ、キミは。



「好きだったよ。」



―…風が、吹いた。


何かを予感させるような、大きく、爽やかな風。


佑くんの髪質の柔らかい髪が、同時に顔を覆って。

風はきっと、涙までも飛ばしてくれたんだと思う。




『……私も。』




そう、言って。
満面の笑みを見せて。



心から笑った私に、佑くんも笑ってくれる。



“ありがとう”って。
“心に届いたよ”って。


言ってくれてるみたいだった。




「……っ。美優…!」




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