だからこそ、キミは。



「美優…?」



私のあまりの剣幕に、驚いたように目を見開く先生。


指輪をした方の手先で、ゆっくりパソコンを閉めて。

それでもどこか余裕を見せる先生は、どうかしてる。




『……っ』




―…声が、出なかった。


苦しくて。
悲しくて。

怒りに近い感情が渦巻いていて。



今すぐ先生に、移動のことを問い詰めたかったんだけど。



それを言った時の先生の表情を見るのが、怖くて。

私はいつの間にか、こんなにも億劫になっていたみたい。



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