だからこそ、キミは。
無口で、何を考えているかわからなくて。
なんでも器用にこなせるくせに、感情表現だけは下手な人。
いつだって薬指には、指輪が光ってる。
―…そんな彼は私を、変えてくれた人。
『…っ先生!』
「ん?」
また、あの時のように優しく振り向いて。
少しだけ、首を傾げてみせて。
『大好きだったよ。』
私がそう言った時、彼は優しく微笑んでくれたから。
「ありがとう。」
…だからこそキミは、愛おしいんだ。
end