辻斬り
キモオタ男こと、ルポライターの紀伊慧(きいさとし)は立山教授に雇われた指導役で、彼もまた立山の門下生だ。
この「労働」も生徒のころから経験している。教授は指導役を立てておいてたいした報酬を出すわけでもないし、自分は研究室でのほほんとしているのだから、憎まれ口のひとつも叩きたくなるところだが、良くて落第、最悪、放校処分を救ってくれた恩を前にしては背に腹は変えられない。
諸先輩方によればこの「労働」、その熾烈さ、過酷さは、筆舌しがたいものがあるといわれる。
何せ今までフィールドワークに使われた場所はどれもひどいものだった。
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