勇者様と従者さま。
 エヴァが扉を開けると、アーサーが立っていた。

「なんだ、従者さま」

「俺で悪かったな」

 アーサーは苦笑。


「…夕食まで稽古をつけてやる。言ったとおり厳しくやるが泣くなよ」

「な、泣きません!…たぶん。待って下さい、準備してこなきゃ」


 エヴァは剣を掴むと部屋の外に出た。

 あれ以来エヴァは刺突剣を使いつづけている。

 非力な彼女には取り回しやすい武器だったし、アーサーにも使いやすい武器がいいと言われた。

 アーサーはエヴァが剣を手にしているのを見ると先に立って歩き出した。



 宣言通り、アーサーの稽古は厳しかった。

 鬼教官どころかただの鬼だ。

 しかもいつにもまして楽しそうだ。


 自分で頼んだこととはいえ、エヴァはすぐに足が立たなくなった。

 アーサーはそれを見ると、休憩を告げた。

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