enjoy!
 「優奈は蓮にあげたくないの?」

 「あげたいけど…。こんなのあげて
  も喜ばないよ…。」

優奈がイスに座ってバンダナを外しな
がら言った。

 「あたしの余りでよかったら…。」

 「え?いいの?」

 「うん。」

あたしは優奈に黄色い袋に入れたクッキー
を手渡した。

 「ゴメンね、愛華。自分の分なくなっ
  ちゃったんじゃない?」

 「いいよ。優奈の為だもん!」

歩斗にあげたヤツをちょっとだけ貰う予定
だし。

 「ありがと!大好きだよ!」

 「あたしもだよ~。」

 「こら!そこ~!調理実習中にイチ
  ャつくな!」

家庭科の太田先生に注意されて、あたし
と優奈は顔を見合わせて笑った。

 「作り終わった人から掃除!まだの人
  はテキパキ動く!!」

太田先生って家庭科の先生なのに、なん
か体育会系なんだよね。

嫌いじゃないけど。

 「愛華!!優奈ちゃん、誰にあげるん
  だよ?」

遼がすれ違い様にあたしを捕まえてそう聞いた。

 「これは企業秘密!」


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