四葉のクローバー
帰り道、歩きながら希は夢に
神崎の家のことを話しなじめた。

「俺さ、あの家族すごく好きでさ。
 ああいう家庭作るの夢なんだ。
 ケンカしながらも一緒に居たくて
 時には今日みたく
 子供に助けられたりしてさ・・・
 家族っていいよな、ホント!」

「・・そうだね。なんか暖かいね
 あの家族。
 神崎さんも始めて話したのに
 あんなに気さくに話せて
 楽しかったし、みさえさんも
 強くて、しっかりしてて!
 私にはないものいっぱい持ってて
 いいよな~。
 私もあんなお母さんになれるかな?
 希君さ、ゆめじゃなく現実に
 サエと家庭持てばいいじゃん!
 毎日が楽しいかもよ!」

そう言うと
希が真剣な顔をして話し始めた。

「俺の親ってさ、居ないんだ。
 って言うか、知らない。
 産まれた時から施設で育って
 ずっと一人だったから。
 人とどう接するかなんて
 なかなか出来なくて・・・。
 でも社会人になって
 神崎さんと会ってから
 色々教わって分かったことが
 たくさんあった。
 だから上司だけど少し離れた
 兄貴的存在になっていて
 で、みさえさん、凉と
 と知り合って
 俺もこんな家族欲しいなって。
 神崎家が俺の理想なんだよね・・
 ゴメンね、マジっぽい話で。
 誰にもこんな話した事ないのにさ。
 ま、忘れていいからさ!」


 
   
 


 
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